だいくとねこ
- 投稿日:2015年09月25日
介護相談員の方々に来て頂き、たくさんの歌を歌いました。その後の紙芝居は「つるのおんがえし」と「だいくとねこ」でした。今日は、「だいくとねこ」をお話しさせて頂きます。
むかしむかし。北風の吹く寒いある日、子猫が「みゃあ みゃあ」と震えて鳴いていました。そこへ大工の佐吉が通りかかり、子猫を家に入れてやりました。「かわいいなあ。よし、うちの子になれ。名前はミケだ。もう、ひとりぼっちじゃないぞ。」
そうして、一年が経ちました。ある日のこと。仕事中、佐吉は倒れてしまい、目が見えなくなってしまったのです。医者は「気の毒だが、お前さんの目は治らないだろう。」震える佐吉にミケはぴったりと身をすりよせました。
働けなくなった佐吉はたいそう貧乏になりました。「ごめんよう。魚一匹買ってやれない。」するとミケが佐吉の体をよじ登り、両目をぺろぺろんとなめたのです。来る日も来る日もなめ続けたのです。
ある朝、佐吉が家の扉を開くと、光の暖かさが目に感じられました。目をこすると、外は春爛漫。桜の花がそれは見事に咲いていました。「目が見える。おい、ミケ来てくれ!一緒に桜を見てくれよう。」ところが、、、。佐吉はミケを抱きあげ、はっとしました。ミケの目は白く濁って何も見えないのでした。「ミケ、桜がこんなにきれいなんだぞ。おいらのかわりに見えなくなったんだな。」佐吉は泣き崩れました。
けれどもミケは幸せでした。大好きな佐吉の目が治ったのです。それから佐吉はいっそうミケを可愛がり、仕事も頑張りました。お互いをおもい合う家族としていつまでも仲良く暮らしたということです。
おしまい。
- 投稿者:副理事長